(>_<) ピック病(前頭側頭葉変性症)を知っていますか??
認知症は、アルツハイマー型だけではありません。
専門医ではありませんが、“ピック病”の事を知っていただきたくて掲載する事にしました。
『ピック病』とは、
 前頭側頭型認知症(FTD)の一種で“若年性認知症”の一つです。
 特有の人格変化や行動異常、言語機能障害を示す初老期の神経変性疾患です。名前のとおり、大脳の前頭葉と側頭葉が特異的に委縮する病気で、神経細胞内に病変の“ピック球”が現れるものが『ピック病』です。
 “アルツハイマー型”でも“脳血管性”でもない認知症です。
“ピック病”は若年性認知症のひとつで、人格の変化や理解不能な異常行動などの特徴を持つ病気です。
■どのような原因でなるのですか ??
ピック球:神経細胞の中に、核と並んでみられる(矢印)
 どのようにしてこの病気になるかはわかっていません。但し、幾つかのタイプがこの病気にはあることがわかってきています。一つはピック球(写真)という異常構造物が神経細胞の中に溜るタイプです。最近わかったものとして“TDP-43”という蛋白が溜るタイプもあります。このように幾つか異なる原因があると考えられます。そのため一つの病気というよりも幾つかの病気に分かれると考えられます。そのため長い間使われていた“ピック病”という用語はピック球がみられるタイプに限って最近では使う傾向にあります。
■日本国内には約1万人以上のピック病患者がいると推定されています。
しかし、“ピック病”を正しく診断できる医師が少ないために、アルツハイマー認知症と誤診されたり、うつ病や統合失調症と間違えられられるケースが少なくありません。
 “ピック病”の発症ケースは少なく、アルツハイマー型認知症の1/3~1/10と言われています。
40代~50代にピークがあり、アルツハイマー型の平均発症年齢が52歳なのに対して、“ピック病”の平均発症年齢は49歳と3年ほど早めです。“ピック病”の発症には男女の性差はありません。
 “ピック病”は、働き盛りの40歳~60歳に多く、脳の前頭葉から側頭葉にかけての部位が委縮して発症する病気です。
アルツハイマー認知症のように記憶力の低下と主症状する認知症とは異なり、
・怒りっぽくなるなどの性格変化
・同じことを繰り返すなどの日常生活での異常行動
・記憶障害
・言語が出てこないなどの神経障害
そして、最終的には重度の認知症に陥ります。
■見守る人たちが注意しなければならないこと!!
 反社会的行動(万引きなど)で捕まったことをきっかけに“ピック病”が見つかった!!というケースも珍しくはないと言います。分別のあるはずの働き盛りの人が、“ピック病”にかかっていたことにも気づかずに、
『万引きをした=反社会的をした』という事実行動だけを受けて仕事や信頼を奪うのです。
『万引きをした=会社を辞めさせられる』のと、“ピック病”と診断されて休職するのでは、患者さんや家族の生活は大きく違ってきます。
 また暴力的な一面が現れる人もいます。
 簡単に『認知症=アルツハイマー型』と考えずに、是非、脳の萎縮検査をしてみて下さい。
・『初期症状』では、知的機能は保たれます。
アルツハイマー型と違い、“ピック病”の初期では記憶・見当認識・計算力などは保たれています。

“ピック病”は、人格障害が激しい病気です。
 ・自制力の低下(粗暴、短絡、相手の話は聞かずに一方的にしゃべる)
 ・感情鈍麻(感情表現が乏しい、意欲が低下する、など)
 ・異常行動(浪費、過食・異食、何でも口に入れる、収集、窃盗、徘徊、など)
 ・人格の変化(無欲・無関心)
 ・感情の荒廃(色々な刺激に対しての感情鈍麻が特に高い状態)
 ・特に対人的態度が特異になる
 (人を無視した態度、診察などに非協力的、不真面目な態度、ひねくれた態度、人を馬鹿にした態度など)
 ・滞続言語
 (特有な反復言語だ、質問の内容とは無関係に、何を聞いても同じ話を繰り返すもので、
  他動的に誘発され、持続的で制止不能な状態)
上記の中でも“ピック病”特有の症状と言えるのが『滞続言語』です。
“ピック病”は、介護保険サービスが受けられます。
“ピック病”のチェックは!!
下記にあげるチェックリストは、厳密にチェックできるモノではありません。
おおまかな“ピック病”の度合を知るための目安です。
ご家族に協力してもらってチェックしてみて下さい。
□状況に合わない行動をする
 場所や状況に不適切と思われる悪ふざけや配慮を欠いた行動をする。
 周囲の人に対して無遠慮な行為や身勝手な行為をする。
□意欲減退
 引きこもりや何もしないなどの状態が持続し、改善しない。
 思い当たる原因は特になく、本人の葛藤(かっとう)も無い。
□無関心
 身だしなみに無関心になり、不潔になる。
 周囲の出来事にも無関心になる。
□逸脱行動
 万引きなどの軽犯罪を犯すが、反省したり説明したりできずに同じ違法行為を繰り返す場合が多い。
□時刻表的行動
 散歩や食事、入浴などの日常生活のさまざまな行為を時刻表のように毎日決まった時間に行う。
 この際、やめさせたり、待たせたりすると怒る。
□食べ物へのこだわり
 毎日同じ物(特に甘い物)しか食べない。
 際限なく食べる場合がある。
□言葉の繰り返し
 同じ言葉を繰り返したり、他人の言葉をオオム返ししたりする。
□好みの変化
 突然甘い物が好きになるなど、食べ物の好みが大きく変わる。
 アルコールやタバコなどは毎日大量に摂取するようになる。
□発語、意味の障害
 無口になったり、語彙(ごい)が少なくなったりする。
 物の意味が解らなくなる。
□短期記憶の維持
 最近の出来事など、短期記憶は保たれる。
 日時も間違えない。
 外出しても道に迷わない。
40歳異常の方で、上記チェックリストで3項目以上に当てはまると、“ピック病”の疑いがあるそうです。
医療機関を受診する際には、できれば“ピック病”の専門医をお勧めします。